【連載:四日市南署だより】三重県四日市市のタウン紙『タウン情報YOU四日市』

タウン情報YOU四日市トップページ > 連載一覧 > 四日市南署だより >自転車の安全利用~自転車は車両~

薬物乱用のない社会を目指して

刑事第二課長 久保裕一

 薬物の乱用とは、医薬品を医療目的以外に使用すること、又は医療目的にない薬物を不正に使用することを言います。
 精神に影響を及ぼす物質の中で、習慣性があり、乱用され、または乱用される恐れのある薬物として、覚醒剤、大麻、MDMA、コカイン、ヘロイン、向精神薬、シンナーなどがあり、その取り扱いが法令により禁止、または、制限されています。
 これらの覚醒剤や麻薬等の薬物は、乱用する人間の精神や身体をボロボロにし、人間が人間として生活することができなくするだけでなく、急性中毒によって死亡する危険が高い人体にとって有害なものです。
 また、その薬理作用から幻覚や妄想等の精神障害を引き起こし、殺人、放火等の凶悪犯罪やひき逃げ事件等の重大な交通事故を引き起こすほか、自殺を図ったり、薬物の購入資金を得るための犯罪が発生するなど、乱用者本人のみならず、社会全体に対しても取り返しのつかない被害を及ぼす危険が大きいことは、皆さんもご承知のことと思います。
 全国情勢から、薬物乱用の特徴を見ますと、毎年1万4千人程が覚醒剤や麻薬等の薬物犯罪で検挙されています。
 このうち、半数以上が、暴力団員や暴力団関係者で占められており、暴力団が組織的に薬物の密売等を行い、資金源としていることがうかがえます。
 また、覚醒剤事犯での検挙が、約1万2千人であるなど、覚醒剤の蔓延が我が国の薬物事犯の大きな特徴となっているほか、最近では、国内における大麻等の栽培やインターネットによる密売事犯の増加に加え、脱法ドラッグの需要増加も大きな問題となっています。この様な情勢下、政府では、現状を第三次覚醒剤乱用期と捉え、関係省庁が協力して、早期収束に向けた薬物対策を行っていますが、芸能人による覚醒剤事犯や若者を中心とした大麻事犯が相次ぐなど、依然として薬物の蔓延が深刻な状況にあります。
 では、なぜ覚醒剤や麻薬等の薬物が蔓延するのでしょうか。
 これらの薬物は、中枢神経系に作用することから、乱用したときの快感が得られ、その快感が忘れられなくなり、また、薬物の効果が切れた時の苦痛から逃れるため、薬物の効果を強く求めてしまうことから、また使いたいという「依存症」や同じ量では効かなくなる「耐性」も生じてしまいます。
 このようなことから、「一度だけ」という好奇心や遊びのつもりでも、「依存性」と「耐性」によって乱用する回数や薬物の量がどんどん増えていくという悪循環に陥ってしまいます。
 乱用者本人が、たとえ悪いことに気づいたとしても、自分の意志ではどうにもならないことが、薬物蔓延の大きな原因と考えています。
 そこで、警察としては、「手を出さない」「手を切らせる」との考え方から、2本の柱を軸に、薬物乱用のない社会をつくるための取り組みを行っています。

取り組みに2本の柱

 一つは、供給源の遮断です。我が国で乱用される薬物のほとんどが海外から流入していることから、これを水際で阻止するため、税関、海上保安庁等の関係機関との連携を強化するとともに、外国の取締機関等との情報交換を緊密に行っています。
 二つは、需要の根絶です。末端乱用者の検挙を徹底するとともに、薬物の危険性・有害性についての正しい知識の周知を図るため、広報啓発活動を行っています。
 四日市南警察署では、販売目的で大麻を栽培していた密売グループ7人を検挙していますが、この事件は、栽培中の大麻約600本や商品化された乾燥大麻約650グラムの押収に成功し、供給源を遮断することができました。
 この事件では、現在も、捜査中ではありますが、麻薬取締法に基づく重罰化と薬物犯罪収益の没収を図ることとしています。
 犯罪組織結成の未然防止のため、広く知っていただきたいのですが、薬物の密売等で、例え一時的に大金を得ることがあったとしても、必ず没収され、長期服役が待っていることは、当然のことです。
 需要の根絶については、薬物依存症になってしまうと本人や家族の力だけでは、どうにもならないことも知っていただきたいと思います。
 薬物に依存すると、薬物を使い続けるだけでなく、度重なる暴力や借金等の問題行動が目立つようになり、ご家族や周囲の人は、その対応に日々追われてしまいます。
 また、回復の方法として、病院での治療等もありますが、長期の手当が必要ですし、その間に家族や周囲の人が疲れ切ってしまうことが心配されます。
 ご家族にとっては、逮捕や服役となれば非常にショックなことではありますが、留置場や刑務所では薬物は使えませんし、自分のしたことの社会的責任について反省し、自覚を深める重要な機会になります。
 現在、警察や刑務所は、刑罰を与えるだけでなく、薬物再乱用防止に向けた指導や教養にも力を入れています。逮捕や服役も回復への大切な機会ととらえ、関係者と連携を取りながら、その後の治療や自助活動に結びつけることは、本人にとっても非常に大切なことですので、万一、ご家族や周囲の方で薬物乱用の疑いがあれば、早期の通報をお願いします。
 最後になりましたが、薬物乱用のない社会を実現するため、今後とも皆様のご協力をお願いします。

最新号の記事
連載
バックナンバー
四日市最新ニュース
チラシ折込み
お問い合わせ
トップページ



【主な配布エリア】
ときわ地区│中部地区│川島地区│桜地区│日永地区│四郷地区│海蔵地区│内部地区│三重地区│羽津地区│橋北地区│大矢知│富洲原│塩浜│楠│富田│あがた│八郷│下野│保々