【連載:「ひと」育て 「企業」育て】三重県四日市市のタウン紙『タウン情報YOU四日市』

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【錦見鋳造】「好き+得意=仕事」

意見や改善点 皆で共有
“魔法のフライパン” 錦見鋳造・錦見泰郎社長

 「ものづくりは人づくり」。会社が多くの人を育て、地域を育てていく手法は、それを考える会社の数だけ存在する。現在躍進している企業は、どのように人を育てているのだろうか。長年培った技術を土台に、人気商品「魔法のフライパン」を開発、下請け企業からの脱却に成功した「錦見鋳造」(木曽岬町栄)の錦見泰郎社長(50)を訪ねた。
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 1960年に錦見社長の父が創業。大手企業の下請けとして自動車関連の鋳物部品を製造していたが、バブル経済の崩壊後、度重なる値下げや取引打ち切りの通告などで窮地に立たされる。当時専務だった錦見社長は、生き残るために「人より3倍難しいこと」、すなわち、鋳物の技術とノウハウを武器に、それまでなかった製品を開発する道を選んだ。
 原料の配合や鋳型の精度など、試作と失敗を繰り返した。自らの手で各地のホテルへ試作品を持参し、シェフに使ってもらった。8年の歳月をかけて完成した「魔法のフライパン」は、鋳物業界の常識を覆す1.5ミリの厚さ。テレビやウェブサイトで紹介され、爆発的人気を勝ち得た。
 手生産のため、納品まで最長3年待ちだったこともあったが、リーマンショック後の社員増員により、従来の倍近い月産2千枚が可能になった。

「仕事」とは

 錦見社長が考える「仕事」とは、「『好き』と『得意』を合わせたもの」。単にお金を稼ごうと思うのではなく、「結果に感動が伴えば自然とついて来る」と考える。良いものを作り、求められる仕事をするため、重視するのが「地頭力」だ。
 錦見社長は「記憶力」や「機転を利かせる力」ではない、「結果から物事を考える力」、すなわち「地頭力」に着目。定めたゴールへ結果を導くために何ができるか、自発的に考えさせることに重きを置いている。

課題解決

 製造現場は、日々発生するトラブルや課題との戦いでもある。原因を明らかにするため、朝礼などで各自が毎日出してくる意見や改善点を全員が共有し、いち早く解決に向かわせる。問題に対する提案が成功・改善につながれば、それぞれがストレスのない仕事、人生を送ることができるからだ。

達成感

 この会社には営業担当がいない。言い換えれば、全員が「魔法のフライパン」の良さと価値を分かっているから、それを使ってどんな料理ができるのか提案することもできる。
 商品を使ったエンドユーザー(生活者)から喜びの声が届けば、給与明細に添付するなどして社員に直接伝えている。「全員が、自分で会社をやっている気持ちで取り組むこと」という錦見社長の思いを受け止め、達成感を得ているのだ。

海外進出

 海外進出には「量産とコストダウンが絶対に必要」という錦見社長。量産を可能にする自動鋳造装置は、開発途中だが今春ごろまでには実用化予定で、ヨーロッパ、米国を中心とした海外市場へのアプローチを進めている。5月からはヨーロッパでのインターネット販売も始める予定。

 「自分にはこれしかない」と、フライパン作りに向き合った錦見社長。思いを共有する人たちが力を合わせ、三重の工場で作り上げたフライパンが、世界中の台所に「魔法」をかける。
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錦見鋳造株式会社
本社所在地/木曽岬町栄262
資本金/1千万円
従業員/14人(2011年1月現在)
売上高/2億6千万円(10年8月期)

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